h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

担癌生体における発熱の研究(その2),V2担癌家兎における体温の測定

腫瘍性発熱の有無,その熱型の特徴を知るためにV2癌を家兎に移植し,体温の推移を観察した.体温の測定はelectro-thermometerでカテーテル型の感熱部を用い,直腸温を毎日1回測定して行く方法と, Telemetry System により連続的に記録して行く方法の2つを用いた.2つの方法で記録された結果は殆ど同様であったが, electro-thermometerにより記録された体温は,発信用カプセルの埋込みが皮下である為に,直腸温に比べ全体的に約0.5℃低かった.結果はV2癌移植後1~2週目より発熱を来しはじめ,漸次上昇し,正常体温より1~1.5℃高い所で安定した.発熱の開始は移植細胞数が多い程早かったし,発熱は腫瘍の増大とある程度相関し,類白血病反応を伴っていた.発熱は日中あるいは日差変動なく,安定したものであった.宿主が末期になると体温は著明に低下し,また体温の変動も著明となり,死の直前には1過性の体温上昇があった.体温上昇の原因としてはV2癌の壊死化,嚢腫化が関係あるようであり,細菌感染の関与はみられなかった.
著者名
松島 敏春
3
2
61-69
DOI
10.11482/KMJ-J3(2)61

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