h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

ガスクロマトグラフ法による尿中中性ステロイド分析法

尿中中性ステロイドのガスクロマト(GC)法による定量分析を日常検査法として実用化するために測定法の改良と装置に工夫をこらした.ステロイド抽出物の脱水に無水硫酸ソーダのかわりにジメトキシプロパンを使用し,またステロイドのシリル化のために抽出溶媒を迅速にしかも完全に除去するために湿式の温水浴のかわりに乾式の温風浴を用いた.本法では,1)各ステロイドの検量線は感度は異なるがいずれも直線となり,再現性も良好で,尿にアンドロステロン(An),エチオコラノロン(Et),プレグナンジオール(Pd),プレグナントリオール(Pt),テトラハイドロコーチゾン(THE),テトラハイドロコーチゾール(THF)およびコルトロンの各100μgの添加時の回収率はそれぞれ100.1, 92.5, 98.2,85.5, 82.6, 81.3および91.3%であった.2)正常人の24時間蓄尿13例において, An/EtおよびPd/Ptの濃度比は男性ではそれぞれ1.0~1.5, 1.0以下であり,女性では1.0以下と1.4~2.7であった.また,両性ともTHE/THF比は1.0~2.5であった.以上の成績から操作の簡便化と分析時間の短縮をはかった本法が従来法と同様の成績を収めうることがわかり推奨に値することを知った.
著者名
日高 和夫, 他
2
2
76-81
DOI
10.11482/KMJ-J2(2)76

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