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マウス横紋筋融解症誘発性急性腎障害モデルにおけるNrf2活性化の意義の検討

生体は親電子性物質,活性酸素種によって生成される酸化ストレスから生体を保護する応答システムを有している.Keap1(Kelch-like ECH-associated protein 1) -Nrf2(NF-E2 related factor2)システムがこの応答機構において重要な役割を果たす.核内移行したNrf2は転写因子として,NQO1,HO-1などの抗酸化遺伝子群の発現を制御する. 横紋筋融解症による急性腎障害(AKI: Acute Kidney Injury)の機序として,酸化ストレスが尿細管障害に大きく関与する.それ故,横紋筋融解症誘発性AKI においてもNrf2活性化による腎保護効果が期待される.横紋筋融解症誘発性AKI におけるNrf2活性化の意義と治療標的としての可能性を検討した.ヒト近位尿細管上皮細胞(hPTECs)を用いhemin 刺激に対するNrf2活性化の意義を検討した.hemin 刺激によりhPTECs におけるNrf2関連抗酸化遺伝子群の上昇,細胞障害を認めた.Nrf2-siRNA によるNrf2ノックダウン(KD)を行うことでhemin 刺激に対する抗酸化遺伝子群の発現上昇は抑制され,細胞障害が有意に増悪した.野生型マウス (WT),Nrf2欠損マウス(Nrf2KO)を用い,グリセロール筋注による横紋筋融解症モデルを作成した.(1)WT/Cont,(2)WT/ 横紋筋融解症(RM),(3)Nrf2KO/Cont,(4)Nrf2KO/RM の4群で比較検討した.結果は,WT/Cont に比べWT/RM 群で腎機能障害,尿細管障害,マクロファージ浸潤を認め,Nrf2KO/RM 群で有意に増悪した.抗酸化遺伝子群の発現はNrf2KO/RM 群で低下していた. 横紋筋融解症誘発性AKI において,Nrf2活性化が腎保護効果を有する事が示された.横紋筋融解症によるAKI に対して,Nrf2活性化が新たな治療標的となり得ることが明らかとなった.
著者名
内田篤志, 他
43
2
81-93
掲載日
2017.11.6

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