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精巣上体炎におけるindoleamine 2,3-dioxygenase(IDO)の役割に関する検討

Indoleamine 2,3-dioxygenase(IDO)は,必須アミノ酸であるトリプトファンのキヌレニン代謝経路における律速酵素であり,免疫反応への関連性が示唆されている.これまでに我々は,IDO が精巣上体頭部に高く発現すると報告している.しかし,その役割について明らかにされていない.今回,我々は精巣上体炎におけるIDO の役割について検討した. 実験動物は12週齢,雄性,C57BL/6マウス,野生型マウス(Ido+ /+)およびIDO ノックアウトマウス(Ido- /-)を用いた.精管側から精巣上体へlipopolysaccharide(LPS)を投与することで,精巣上体炎モデルを作成し,LPS 投与後に精巣上体を摘出した.精巣上体におけるIDO の経時的な発現についてIDO 定量検査(ELISA 法)を用いて解析した.また,精巣上体における炎症性変化について,網羅的サイトカイン/ ケモカイン定量検査により代表マーカーを選出し,免疫染色を行うことで,精巣上体炎におけるIDO の働きについて生化学的および免疫組織学的に検討した. HE 染色では,Ido- /- はIdo+ /+ と比較して,リンパ球優位の炎症細胞浸潤および精巣上体内の腺管構造破壊が抑制されていた.IDO 定量検査(ELISA 法)では,Ido+ /+ はIdo+ /+ sham と比較して,LPS 投与後1日目,3日目において,精巣上体内におけるIDO 発現の有意な上昇を認めた.Ido- /- では全ての観察期間においてIDO の発現を認めなかった.網羅的サイトカイン/ ケモカイン定量検査では,Ido- /- においてIdo+ /+ と比較して,炎症促進性サイトカイン(IL-1α,IL-6)およびケモカイン(CCL3,CXCL1)の発現が抑制され,炎症抑制性サイトカイン(IL-4,IL-10)の発現が促進されていた.各種マーカーを用いた免疫染色においても同様に,炎症促進性サイトカイン(IL-1α,IL-6)およびケモカイン(CCL3,CXCL1)の発現が抑制され,炎症抑制性サイトカイン(IL-4,IL-10)の発現が促進されていた. 精巣上体では,IDO を介したサイトカイン/ケモカインの調節が行われている可能性がある.IDO を阻害することにより,精巣上体炎に対して精巣上体内の組織保護作用を有すると推測され,抗菌薬に加えてIDO 阻害薬が新規治療薬となる可能性があると考えられる.
著者名
大平 伸
44
1
1-10
掲載日
2018.2.1

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