h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

クリプトコッカス髄膜炎を発症したCD4リンパ球減少症の2例

クリプトコッカス感染症はCryptococcus neoformans による真菌感染症であり,免疫不全患者に発症しやすい.今回,我々はCD4リンパ球減少を認め,クリプトコッカス髄膜炎を発症した2例を経験したので報告する.症例1は,40歳代男性で不明熱のため受診した.血液検査でリンパ球930/μL,髄膜刺激症状はなかったが,髄液検査にてクリプトコッカス菌体が検出され,血液培養からも検出された.CD4 72.5/μL と低値であり,HIV 抗体陽性であった.クリプトコッカス髄膜炎を発症したAIDS 患者と診断した.症例2は,20歳代女性で不明熱のため受診した.血液検査でリンパ球510/μL,髄膜刺激症状はなかったが,髄液検査にてクリプトコッカス菌体が検出され,血液培養からも検出された.CD4 19.4/μL と低値であったが,HIV 抗体陰性で原発性免疫不全症や他の免疫不全となる原因は認められなかった.Idiopathic CD4 lymphocytopenia(ICL)に発症したクリプトコッカス髄膜炎と診断した.AIDS とICL がそれぞれ原因となったクリプトコッカス髄膜炎であった.前者での本症併発は2.4 %,後者での併発は19.7 % と報告されている.HIV非感染のクリプトコッカス髄膜炎をみた際にはICL によるCD4リンパ球減少症を考える必要がある.死に至ることもまれではないクリプトコッカス髄膜炎であるが,治療が奏効し1年以上経過しているため報告する.
著者名
横井 桃子, 他
44
1
49-55
DOI
10.11482/KMJ-J44(1)49
掲載日
2018.2.7

b_download