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形態学的に骨髄腫細胞との鑑別に苦慮した plasmacytoid な形態を示した膀胱癌の多発骨転移の1例

尿路上皮癌には,腫瘍細胞が形質細胞に酷似した形態を呈することがある.今回,形態学的に骨髄腫細胞との鑑別に苦慮したplasmacytoid な形態を示した膀胱癌の骨髄転移の一例を経験したので報告する. 症例は80歳代男性で,20XX 年10月に蛋白尿と腎機能障害が出現し,精査にて多発性骨髄腫(IgG-λ),ISS Ⅱ期と診断され,BD 療法(bortezomib+dexamethasone)を開始した.効果は良好で,3コース施行後にはVGPR(very good partial response)に到達した.20XX +1年2月間歇的に認めていた血尿の精査を行い,細胞診や膀胱鏡検査から膀胱癌の併発を確認した.骨髄腫治療は中断し,膀胱癌治療を優先した.PET/CT 検査ではリンパ節やその他臓器への転移は認めず,6月に膀胱全摘術が施行された.術後は経過良好であったため,全身状態の回復を待ち,骨髄腫治療を再開する予定であった.しかし,9月末頃から腰痛が出現し,10月には腰痛の増強を認めたため再度PET/CT 検査を施行したところ,多発する骨髄病変を認めた.骨髄腫の増悪を疑い骨髄検査を施行した.骨髄穿刺塗沫標本では,形質細胞様の異形細胞を多数認め,骨髄腫の増悪を推測させる所見であった.しかし同時に施行された骨髄腫関連検査では,IgG やその他の免疫グロブリンは正常であり,蛋白分画や免疫固定法でもM 蛋白は検出されなかった.骨髄生検の病理組織学的検査の結果,形質細胞様の異形細胞は尿路上皮系の腫瘍細胞であり,膀胱癌の骨転移と診断された.PET/CT 検査での多発骨髄病変は,多発性骨髄腫の増悪ではなく,膀胱癌の多発骨転移であった. 膀胱全摘後の再発は,遠隔転移が20~50% と遠隔転移が多く,遠隔転移部位として骨,リンパ節,肺,肝の順に多いと報告されている.そのため,骨髄塗抹標本検鏡の際,遭遇する可能性があり,骨髄腫細胞と見誤らないためには,免疫染色を含めた組織学的な検討,血清・尿の蛋白解析が必須と考えられた.
著者名
佐野 史典, 他
44
1
57-64
掲載日
2018.2.8

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