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進行・再発乳癌患者に対するフルベストラントの有用性

ホルモン受容体陽性の閉経後進行・再発乳癌患者に対する内分泌療法として,フルベストラントが本邦で臨床導入されて6年余りが経過した.本剤の有用性を検討するため,2012年1月〜2016年10月に川崎医科大学附属病院乳腺甲状腺外科において,フルベストラントが単独使用され,治療評価が可能であった51症例の電子カルテを後方視的に調査した.対象患者の年齢の中央値は70歳.進行例が9例,再発例が42例.臓器転移ありが23例.観察期間の中央値は18か月.前内分泌療法数の中央値は2.前化学療法歴ありは21例.治療効果は,完全奏効が3例,部分奏効が6例,安定が25 例(うち長期安定は20例),進行が16例であった.客観的奏効は9例(17.6%),臨床的有用は29例(56.9%)であった.無増悪生存(PFS)期間の中央値は8か月,全生存(OS)期間の中央値は34か月であった.治療効果の予測因子を調べるため,サブグループに分けてPFS及びOS を解析した.肝転移の有無では,PFS 期間の中央値は,なしが9.5か月,ありが5か月(P= 0.0386),OS 期間の中央値は,なしが41か月,ありが15か月(P = 0.0036)であった.前化学療法の有無では,PFS 期間の中央値は,なしが12.5か月,ありが3.5か月(P < 0.0001),OS 期間の中央値は,なしが41か月,ありが24か月(P = 0.0208).多変量解析では,前化学療法歴の有無が唯一のPFS の有意な予測因子であった.また,肝転移の有無が唯一のOS の有意な予測因子であった.有害事象は6例(11.7%)に認めたが,いずれも軽微であり治療が中断されることはなかった.要約すると,ホルモン受容体陽性の進行・再発乳癌の治療薬として,フルベストラントは17.6% の客観的奏効率,56.9% の臨床的有用性が認められ,既知の報告と同等の治療効果であった.フルベストラントは,化学療法歴のある症例,肝転移のある症例では,有用性が低いと考えられた.
著者名
太田 裕介, 他
44
2
79-87
掲載日
2018.7.1

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