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大学病院もの忘れ外来に長期通院継続している軽度認知障害患者の特徴

軽度認知機能障害(MCI)は認知症の前段階として注目されてきた.今回,認知機能低下のため当院もの忘れ外来を長期通院継続しているMCI 患者の特徴を把握し,MCI 患者の認知症への進展を予測する要因について検討した.対象は2003年4月~2017年4月に当科もの忘れ外来を受診した患者1,646人のうち,初診時Mini-Mental State Examination(MMSE)20/30以上ある40歳以上のMCI 患者125人.患者背景,神経心理検査,画像所見,薬物治療の有無を検討し,さらに,これらを認知機能維持群(MMSE の変化<5)と悪化群(MMSE の変化≧5)の2群に分けてその特徴を比較した.初診時平均年齢72.8±10.5歳,教育歴は平均11.1±2.1年,基礎疾患は高血圧症48.8%,糖尿病 23.2%,脂質異常症 47.2% と生活習慣病を併存している例が多かった.初診時の主訴が記憶障害であった例が92.8%と高かった.神経心理検査ではMMSE 24.2±2.8,長谷川式簡易知能評価スケール改訂版(HDS-R)22.5±3.8,Test Your Memory 日本語版一部改変(TYM-J川崎医大ヴァージョン;TYM-J)37.4±6.4であった.画像検査では,アルツハイマー病(AD)に特徴的な側頭頭頂連合野や後部帯状回の集積低下を認めた患者は41.6% に留まった.2017年4月の時点での臨床診断は,AD 69%,MCI 12% であった.認知機能維持群と悪化群での比較では,悪化群は初診後1年でMMSE, HDS-R ともに有意に低下した.MMSE,TYM-J 下位項目での比較では,1年後にMMSE で注意と計算,遅延再生で,TYM-J では知識と想起で減点が多かった.以上から,初診時にMCI と診断しても,受診1年間の認知機能の変化で,ある程度,認知症への進展を予想できるかもしれない.
著者名
久德 弓子, 他
45
27-34
掲載日
2019.7.16

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