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冠血流が冠動脈内温度に与える影響

 急性心筋梗塞症例では,安定狭心症例や不安定狭心症例に比べ冠動脈壁温度が高いと報告されており,その機序として動脈硬化病変における炎症が推測されている.同程度の炎症反応であれば,冠動脈血流量も壁温度に関与するのではないかと推察されるが,そのような報告はなされていない.近年,温度センサー付き圧ガイドワイヤ-が開発され,血管内の温度変化を計測することが可能となった.温度センサー付き圧ガイドワイヤーを用いて冠動脈閉塞により冠動脈内温度が変化するか,動脈硬化を有さない成犬を用いて検討した.全身麻酔を行った成犬の右内顎動脈からカテーテルを挿入し, X線透視下に左前下行枝(LAD)末梢まで圧ワイヤ-を挿入した. LAD近位部をPTCA用バルーンで閉塞し,閉塞部より末梢の冠動脈内温度を閉塞後の時間経過に沿って計測した.また perfusion balloonを用いて冠血流を維持した状況で同様の計測を行った.冠動脈閉塞により温度は有意に上昇し(0.01±0.02℃ VS.0.23±0.04℃, p<0.0001),閉塞解除により温度は速やかに低下したが(0.01±0.03C), perfusion balloon使用下で冠血流を維持した場合には温度変化は認められなかった(0.01±0.02-Cvs.0.02±0.03-C, p-NS).冠血流を遮断することにより冠動脈内温度の上昇が認められ,冠血流自体がradiatorとして作用していることが推測された.(平成15年10月27日受理)
著者名
小山 雄士
29
3
249-254

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