Online edition:ISSN 2758-089X
当科における基底細胞癌の統計的観察
皮膚に発生する悪性腫瘍のうち比較的高頻度に見られる基底細胞癌(BCC)について統計的観察をおこなった.
1990年1月から2001年5月までの11年5カ月間に川崎医科大学附属病院形成外科において治療した基底細胞癌の48患者49症例を対象として年齢・部位・臨床および組織分類・切除範囲・切除後の再建方法・再発の有無などについて若干の文献的考察をふまえて検討した.
男女比は1.3:1,年齢は13~98歳(平均63.4歳),初診までの期間は平均3.6年であった.
腫癌の長径は4~100mm(平均15.1mm)であった.部位は顔面が最も多く眼宮部が19例(38%),鼻部が13例(26%)を占めており,いわゆる胎生期顔裂線に一致する傾向にあった.臨床分類は結節型・結節潰瘍型の2型で85%を占め,組織型ではsolidtypeが75%を占めた.
腫瘍辺緑からの切除距離は5mmが最多で18例(42%),次いで3mmが8例(19%)などであった.脹周囲19例に限ると切除辺緑は3~5mmが11例,3mm以下が8例であったがいずれも再発は見られなかった.
再建方法は局所皮弁が最多で33例(67%)続いて単純縫緒が8例(16%),植皮が6例(12%),遊離皮弁が2例(4%)であった.
再発例は頭部,顔面発症の2例であった.(平成14年12月3日受理)
- 著者名
- 三河内 明,他
- 巻
- 29
- 号
- 1
- 頁
- 41-46
- DOI
- 10.11482/KMJ29(1)041-046.2003.pdf