h_kaishi

t_toukou

切除不能大型肝細胞癌に対するレンバチニブの治療成績と効果予測

肝動脈化学塞栓療法(TACE)の適応とされてきた肝細胞癌の一部(最大腫瘍径(cm)と腫瘍個数の和が7を超える[up-to-seven out])はTACE 不応であることが明らかにされている.そこで最大腫瘍径 > 6cm の切除不能大型肝細胞癌に対するレンバチニブ(チロシンキナーゼ阻害薬)の治療成績を検討し,治療奏効予測因子を解析した.対象は2018年4月から2020年10月までの間にレンバチニブを導入した122例の肝細胞癌症例のうち,治療効果判定が可能で最大腫瘍径 >6cm であった45例である.mRECIST による最良治療効果はCR/PR/SD/PD が0/23/13/9例で,奏効率は51.1%,腫瘍制御率は80%であった.奏効群(23例)は治療開始早期(1か月以内)のΔCRP(治療開始後最大CRP 値−治療前CRP 値)が非奏効群(22例)にくらべて有意に大きく( P < 0.001),独立した治療効果予測因子であった(オッズ比:1.39,95% CI:1.08-1.78,P = 0.01).一方,全生存期間中央値は12.3か月,無増悪生存期間中央値は4.9か月であり,生存期間予測因子は総ビリルビン値(ハザード比:2.74,95% CI:1.35-5.55,P = 0.005),腫瘍制御率(ハザード比:0.33,95% CI:0.12-0.94,P = 0.038),後治療有り(ハザード比:0.33,95% CI:0.13-0.70,P = 0.013)が有意な因子として抽出された.G3以上の有害事象では,ALT・AST 上昇が8例(17.8%)と最も高頻度であった.以上より,腫瘍径 > 6cm の切除不能大型肝細胞癌に対するレンバチニブの治療成績は良好で,レンバチニブ治療開始早期のΔCRP は治療奏効の予測因子であるとともに,レンバチニブ中断後も可能な限り後治療を行うことが生存期間を延ばすうえで重要であると考えられた.
著者名
吉岡 奈穂子, 他
47
103-111
DOI
10.11482/KMJ-J202147103
掲載日
2021.9.6

b_download