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Online edition:ISSN 2758-089X

発症早期にEBV 関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV-HLH)と診断し早期治療介入し得た成人例

Epstein Barr virus(EBV)関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV-HLH)はCD8陽性T 細胞EBV が感染し,モノクローナルに増殖し,高サイトカイン血症の状態となり,血球貪食性リンパ組織球症を発症する.治療は早期介入すれば,T細胞が制御されるが,診断が遅れたり,治療が不十分な場合は致死的な経過をたどる.今回末梢血と骨髄フローサイトメトリー(FCM)検査,TCR(T 細胞受容体)レパトア解析で早期診断,治療介入し得た成人例を経験したので報告する.症例は30歳代男性.腹痛,発熱にて前医受診し,急性肝炎疑いにて入院.翌日全身状態増悪し,穿孔性腹膜炎による敗血症性ショック疑いにて当院転院となった.入院時血液検査で肝酵素の著明 な上昇に加え,末梢血の塗抹標本に異常細胞を検出し, 血球貪食症候群を疑った.また,EBV-IgM 陽性,EBNA 陰性でEBV 初感染パターンで,EBV-DNA は6.12 log copies/mL と著明な高値を認めた.骨髄像では血球貪食像を認め,FCM でリンパ球はCD5陰性HLA-DR 陽性のCD8陽性T 細胞が優位,TCR レパトア解析でCD8陽性T 細胞はVβ4への偏りを認め,EBV-HLH と診断した.診断後,メチルプレドニゾロン(mPSL) パルス療法を開始し,以降は血液検査を確認しながら漸減を行った.治療開始後,肝酵素はAST,ALT ともに速やかに低下を認めた.また,1-2週間後から血球回復も認め,治療が奏功した.
著者名
橋本 誠也, 他
50
35-41
DOI
10.11482/KMJ-J202450035
掲載日
2024.8.6

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