2023.06.30
Machine Learning Models to Predict In-hospital Mortality in Burn Patients
背景:熱傷の予後予測指標には様々な指標(従来指標)が提唱されているが,機械学習を用いた予後予測と直接の比較は行われていない. 目的:熱傷患者の予後予測について従来指標と機械学習モデルとを比較検討する.また,高齢者における予後予測精度を検証する. 対象:2011年4月から2019年3月までに一般社団法人日本熱傷学会熱傷入院患者レジストリーに登録された20歳以上の患者(JSBI 群)および,川崎医科大学附属病院に2001年1月からの19年間に熱傷で入院した20歳以上の患者(KMS 群)を対象とする. 方法:JSBI 群を,JSBI-train 群とJSBI-test 群にわけ,JSBI-train 群を用いて機械学習モデルを作成し,JSBI-test 群で従来指標および機械学習モデルの予後予測能を,ROC 解析を用いて検討した.また,KMS 群を用いて外部検証を行った.JSBI-test 群を用いて高齢者における従来指標と機械学習モデルの予後予測能を検証した. 結果:従来指標ではRevised baux score(RBS)が最も診断精度が高かったが,機械学習モデルすべてがRBS を上回る精度を示した.年齢層別解析により従来指標,機械学習モデルのいずれにおいても80歳以上の患者でその精度が低下しており,Prognostic burn index(PBI)よりもXGBoost モデルの精度が高かった(P = 0.036).外部検証においても十分な予測能を有していた. 結語:熱傷の予後予測において機械学習モデルは従来指標を上回る精度を示した.また,高齢者において,本邦で一般的なPBI よりもXGBoost モデルが高い精度を示したがその差は僅かであり,併存疾患や治療撤退などの指標を投入することで,機械学習モデルの精度が上がる可能性がある.
2023.05.15
A case of Perianal basal cell carcinoma
基底細胞癌は,露出部位,特に顔面・頭頚部に好発する腫瘍で,臀部に発生することは稀である.今回我々は,肛門周囲皮膚に発生した基底細胞癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は63歳,女性.肛囲4時の方向に20×35mm 大の腫瘤を認め,皮膚科で生検を施行され基底細胞癌の診断であった.手術目的で当科紹介となった.当科にて単純切除し術後経過良好であった.肛門周囲で発生した基底細胞癌の場合,肛門管類基底細胞癌と鑑別する必要がある.肛門管類基底細胞癌は予後不良であり切除範囲も大きく異なるため,念頭に置きながら鑑別をしていかなければならない.
2023.01.12
Advanced gastrointestinal stromal tumor with intracerebral hemorrhage during sunitinib treatment
2022.12.19
Temporal dispersion in vasculitic neuropathy: its microscopic ultrastructural findings
症例は35歳男性.32歳のときに右腓腹神経・足底神経支配領域の異常感覚で発症し,その後,左腓腹神経・足底神経領域,両側尺骨神経領域に感覚障害が拡大した.神経伝導検査では,左脛骨神経複合筋活電位において,時間的分散の所見が認められた.腓腹神経生検では,神経上膜にフィブリノイド壊死を伴う壊死性血管炎を認めた.エポン包埋トルイジン青染色では、有髄神経線維の脱落が著明であり,髄鞘の薄い再生軸索が認められた.電子顕微鏡による観察では,脱髄は認められず,軸索の再生が認められたが,髄鞘再生に乏しいthin myelin が特徴的であった.神経伝導検査で,伝導ブロックや時間的分散といった脱髄を疑う所見を呈する血管炎性ニューロパチーについて24例の報告があるが,これまで電子顕微鏡による観察はされていない.血管炎性ニューロパチーによって惹起される時間的分散の出現機序について,微細構造所見を基に考察する.