h_kaishi

t_toukou

αグロビン遺伝子の終止コドンに変異を持つαサラセミア様異常ヘモグロビン症,Hb Constant Spring の遺伝子解析

 αグロビン遺伝子の終止コドンに変異をもつHb Constant Spring保因者と診断されているタイ人(10人)から単離された赤血球をαグロビン遺伝子の解析に用いた.  Hb分析は,赤血球から調製した溶血液の等電点電気泳動法,陰イオン交換BioAssist QカラムによるHPLCあるいは自動分析器,HLC-723G7,によって行った.キットによる簡易法でDNAの抽出をし,欠損型のαサラセミア-2変異体やαサラセミア-1変異体の検出はGap-PCR法で行い,非欠損型のαサラセミア変異体の検出はαグロビン遺伝子のPCR-シーケンシング法で行った.  Hb分析ではHb A2付近にHb Constant SpringやHb Eと推測される低あるいは高含量の異常Hbが存在し,また,HbAより陽極にHb Hが存在するものもあった.αサラセミア-2変異体の2種の欠損型(-α3.7と-α4.2)は,双方とも存在しなかったが,αサラセミア-1変異体の欠損型は--SEA型が存在した.調べた検体中に検出された終止コドンに変異を持つ非欠損型のαサラセミア様変異体はα-Constant Spring(αCS)のみならずα-Pakse(αPakse)が存在した.このことから,タイで検出されるHb H症には,--SEA/αCSαや--SEA/αPakseαの遺伝子型が存在すると考えられた.また,2検体は,この地域でよくみられるHb E症の保因者でもあった.  この研究は,αCSがHb H症の原因となっている東南アジア地域(タイ,ベトナム,カンボジア,フィリピンなど)から日本に移住している多くの人々のヘモグロビン異常症の解析に有益であると思われた.(平成16年11月9日受理)
著者名
原野 恵子
30
2
153-161

b_download