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Online edition:ISSN 2758-089X

経錐体到達法における3次元画像の有用性に関する研究

 経錐体到達法は,斜台部や脳幹前外側面などの頭蓋底部へ最短距離で到達できること,広い術野が得られること,脳圧排が少ないこと等の特徴を有する優れた手術到達法である.しかし,重要構造物が密集する錐体骨の骨削除を要するため,脳神経外科手術の中でも特に難易度の高い手術とされている.  解剖用屍体10体の頭部を手術用顕微鏡下に解剖し,骨削除を安全に行うための問題点について検討した.その結果,従来用いられてきた解剖学的指標は,その個体差によって必ずしも信頼できる指標とはなり得なかった.  そこで,手術に必要な錐体骨内部の重要構造物である顔面神経,三半規管,蝸牛,前庭水管,耳小骨,内頸動脈,S状静脈洞,頸静脈球のみを選択した3次元画像を作成し,その有用性と精度について検討した.錐体骨3次元画像は,錐体骨内部構造を立体的に理解する際に有用であり,十分な精度を有していた.術前の手術シミュレーションを行う際においても,任意の侵入角度から観察した錐体骨内部構造を描出することができた.  また,この3次元画像をnavigation systemに応用して骨削除を行ったところ,錐体骨内部の重要構造物を確実に温存しつつ,かつ速やかに骨削除を行うことが可能であった.(平成16年9月21日受理)
著者名
石井 則宏
30
2
69-81
DOI
10.11482/KMJ30(2)069-081,2004.pdf

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