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マウス内耳発生におけるTUNEL陽性死細胞の形態学的観察―CDDP投与による変化について―

 昨今の細胞死研究において,核のDNA断片化を検出するTdT-mediated dUTP-biotinnick end labeling (以下TUNEL)法で陽性死細胞の中には形態学的に“アポトーシス様”と判定される死細胞だけでなく”非アポトーシス様”と判定される死細胞も存在していることが明らかとなってきた.本研究は内耳形態変化が最も多く”自然細胞死”が高頻度に発現すると考えられる胎生12日目マウスの内耳を材料として,個体発生における“プログラム細胞死”で“アポトーシス様”と”非アポトーシス様”と判定される死細胞の占める比率を明らかにし,内耳毒性を有するcis-diammine-dichloroplatinum (以下CDDP)投与の影響を観察した.対照群5匹5耳とCDDP負荷群(以下CDDP群)5匹5耳で観察されたTUNEL陽性死細胞を“アポトーシスの定義に基づいて,光顕的にアポトーシス細胞死(以下ACD)と非アポトーシス細胞死(以下NACD)を示す死細胞に分類し,各検体における総死細胞数に対する比率(以下ACD率, NACD率)を算出した.その結果,対照群におけるACD率は約90%であり, NACD率は約10%であった.またCDDP群では対照群と比較して総死細胞数に著変は無かったが,前者が約70%,後者が約30%と発現率に変化が認められた.それによってACDは分裂・増殖と同様に発生期に必須であり,NACDの増加は内耳毒性に対する防御反応と推察された.   (平成14年10月28日受理)
著者名
平井 滋夫
28
4
287-296

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