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実験的小腸縦走潰瘍におけるマクロファージと催炎症性サイトカインの役割 ―マクロファージ除去ラットを用いた検討―

 [背景一目的]ラットにインドメタシンを経肛門的に投与すると, Crohn病に類似した腸間膜付着側の小腸縦走潰瘍が発生する.近年,この小腸縦走潰瘍の発生に腸内細菌叢由来のリポ多糖が重要な役割を担っていることが報告された.そこで,本研究では小腸縦走潰瘍の発生におけるリポ多糖の標的細胞であるマクロファージの関与を検討した. [方法]6週齢の雄性Wistar系ラットに,ジクロロメチレン・ビスフォスフォネートを含有するリボソームを腹腔内に投与しマクロファージ除去ラットの作製を試み,インドメタシン24 mg/kg を注腸した後の小腸潰瘍性病変を評価した.また,マクロファージ非除去ラットにtumor necrosis factor-α, interleukin-6, interleukin-1βの中和抗体を単独または併用で腹腔内投与し,インドメタシン起因性小腸縦走潰瘍を評価した.さらに,マクロファージ除去ラットにリコンビナントtumor necrosis factor-α, interleukin-6, interleukin-1βを単独または併用投与した時のインドメタシン起因性小腸縦走潰瘍への影響を観察した.小腸潰瘍の評価は,インドメタシン投与の24時間後に摘出した全小腸を観察し,小腸全長に占める縦走潰瘍総長の比率(ulcer index),および組織学的傷害スコアで評価した. [結果]ジクロ囗メチレン・ビスフォスフォネート含有リボソームを投与すると,小腸組織内マクロファージは有意に減少した.このマクロファージ除去ラットでは,小腸縦走潰瘍のulcer indexが無処置群の19.6%に抑制された.マクロファージ非除去ラットでも,抗tumor necrosis factor-α, interleukin-6, interleukin-1β中和抗体を投与するといずれも用量依存性に小腸縦走潰瘍の発生が抑制され,併用投与ではさらに抑制効果が増強し,3剤すべて併用すると87.5%の抑制率となった.さらに,マクロファージ除去ラットにリコンビナントtumor necrosis factor-α, interleukin-6, interleukin-1βを投与することで小腸潰瘍が再現された.また,組織学的傷害スコアはすべてulcer index と相関していた. [結論]ラットのインドメタシン起因性小腸縦走潰瘍モデルでは,マクロファージの存在下で催炎症性サイトカインの産生を介して小腸縦走潰瘍が誘発されている.                               (平成14年9月24日受理)
著者名
垂水 研一
28
4
243-256

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