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老齢マウス腎臓形質細胞の電子顕微鏡的観察

 生後6ヶ月以降のマウス腎臓には皮髄境界領域に孤立性のリンパ組織が高頻度に出現し,これらの腎臓リンパ組織には免疫担当細胞として,リンパ球やマクロファージとともに多数の形質細胞が含まれる.腎臓形質細胞の超微形態的な特徴と腎臓内での分布を明らかにすることを目的として,生後180日齢及び1年齢のマウスを用いて,腎臓リンパ組織と腎臓間質に分布する形質細胞を電顕レベルで観察した.形質細胞は腎臓内で皮髄境界領域の血管分岐部周囲の結合組織内に集合するほかに,皮質尿細管問や被膜直下の狭い結合組織内にも単独ないし数個がグループを作って散在する.皮髄境界領域のリンパ組織内には,成熟形質細胞の他に大型核の形質芽細胞や形質芽細胞の核分裂像も認められ,形質細胞は腎臓内で局所的に活発に増加している.皮髄境界領域リンパ組織内の形質細胞の中には,核内染色質が核膜の内側に強度に半月状に凝集する細胞死が認められる.死細胞の粗面小胞体は球状に断片化し,死細胞はマクロファージに取り込まれる.成熟形質細胞の核は核小体や核内小体を含む.核内小体は核の染色質問領域に出現し,一般に径0.1~1.0μmで核小体より小型である.形質細胞における核内小体の出現頻度は42.2%で極めて高く,細胞死の徴候を呈する形質細胞にも認められる.腎臓形質細胞の核内小体はその超微形態から4型に分類され,最も多いのは細線維型で,全体の77.1%を占め,次いで細線維顆粒型で18.6%を占める.形質細胞の腎内における分布と核内小体の意義を考察した.                               (平成11年9月21日受理)
著者名
小川 洋司
25
4
269-278

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