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炎症性腸疾患におけるサイトカインの評価:粘膜局所における発現と臨床像の対比

 背景:Crohn病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)ではサイトカインが炎症の発生や持続に関与している.そこで,UCとCDにおける粘膜局所のサイトカインmRNAの発現をRT-PCR法で検出し,臨床像との関係を検討した. 対象と方法: 1 ) UC 79例, CD 18例,急性腸炎13例,健常者16例を対象とし,大腸内視鏡検査下に採取した直腸粘膜からmRNAを抽出しRT-PCR法でIFN- γ , IL-2, IL-4,IL―10, IL-13, IL-15のmRNA発現の有無を判定した.各疾患群におけるサイトカイン陽性率を比較し,さらにUCでは検査時および1年後の臨床的活動性,内視鏡所見,および組織学的炎症の程度と陽性率の関係を検討した; 2) CD 36例,急性腸炎14例,健常者16例を対象とし,同様の方法を用いて回腸粘膜におけるサイトカイン陽性率を比較検討した. 結果:1 ) UCでは健常者よりもIL-4, IL-10,およびIL-13の陽性率が高かった.また急性腸炎よりもIL-4の陽性率が高く,CDよりもIL-13の陽性率が高値を示し,いずれも有意差がみられた.臨床的活動性,内視鏡所見,組織学的炎症のいずれにおいても,活動期UCでは非活動期UCよりもIL-4とIL-13の陽性率が有意に高かったが,サイトカイン発現の有無と1年後までの治癒率や再発率に有意な関係を指摘できなかった. 2)CDでは健常者よりもIL-10の陽性率が有意に高かったが,急性腸炎とは差はなかった. 結論:UCとCDではサイトカインの発現が異なり,前者ではTh2系サイトカインの中でもIL-4とIL-13が病態や重症度と密接に関与すると考えられた.一方, IL-10は腸管の炎症で非特異的に発現する可能性が示唆された.       (平成11年9月16日受理)
著者名
井上 滋夫
25
4
257-267

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