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Peroxynitrite の電位依存性Ca2+チャネルに及ぼす作用に関する研究

 Peroxynitriteが抑制性神経伝達物質であるγ-aminobutyric acid (GABA)をCa2+依存性に放出させること,またCa2+依存性神経伝達物質放出が細胞内へのCa2+流入により誘発されることが知られていることから,本研究では初代培養マウス大脳皮質神経細胞への[45Ca2+]流入を測定することにより,peroxynitriteにより誘発される神経細胞へのCa2+流入機序について検討を行った. Peroxynitriteは濃度およびincubation時間に依存した[45Ca2+]流入の増加をもたらした.この流入増加はcyclic GMP 生成の有無にかかわらず認められたことから,cGMP非依存性であることが判明した.神経細胞膜の脱分極阻害薬であるtetrodotoxin,膜安定化剤であるdibucaineおよびlidocaineは,いずれも用量依存性にperoxynitrite誘発性[45Ca2+]流入を阻害した.Peroxynitrite誘発性[45Ca2+]流入はP/Q型およびL型電位依存性Ca2+チャネル(VDCC)阻害薬であるω-agatoxin IV A (ω-ATX)およびnifedipineにより有意に抑制され,これら両阻害薬の同時存在下では完全に消失したが,N型VDCC阻害薬であるω-conotoxin GVIA (ω-CTX)は影響を及ぼさなかった.一方,30 mM KCI 誘発性[45Ca2+]流入はperoxynitriteにより有意に抑制され,その抑制の程度はω-CTXによる抑制の程度と同程度であった.さらに,KCIおよびperoxynitriteの同時存在下で認められる[45Ca2+]流入は, nifedipineとω-ATXの同時添加で消失し, ω-CTXは何らの影響も与えなかった.以上の結果から,peroxynitrite誘発性[45Ca2+]流入は, peroxynitriteによる神経細胞膜の脱分極を介したP/Q型およびL型VDCCsの活性化に起因しており,N型VDCCはperoxynitriteにより抑制されることが明らかとなった.                              (平成10年9月30日受理)
著者名
原 淳夫
24
3
149-159

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