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発話障害が緩徐に進行する63歳女性の臨床経過・画像所見の検討

 今回われわれは,発症4年目から6年間の経過を観察しえた原発性進行性失語(PPA)の1例を経験した.症例は63歳女性.55歳頃から言葉が出にくい,詰まる,速くしゃべれないことを自覚し,徐々に進行するため58歳時に当科を受診した.60歳時よりたどたどしい会話となり,電話では「外国の方ですか」と問われた.塩酸ドネぺジルを処方されたが,その後も症状は進行し,電話番号を暗記できなくなったため,62歳時に当科へ入院した.発話は非流暢で,音韻性錯語が目立った.また,プロソディー障害,失文法,Foreign accent syndrome,アナルトリー障害を認めた.本例の発話障害の特徴と123I-IMP SPECT 所見の検討から,縁上回病変による音韻障害と概念の音韻系列の実現障害が主体で,そこに中前頭回病変によるプロソディー障害,下前頭回病変による失文法とForeign accent syndrome,中心前回病変のアナルトリー障害が徐々に加わって進行していると考えた.本例では発症9年目の現時点でも意味システムが比較的保たれており,今後の経過が注目される.(平成25年2月12日受理)
著者名
久德 弓子,他
39
3
101-107

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