h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

好中球とアポトーシス

細胞死の2つの形態がアポトーシスと壊死であることは,広く受け入れられている.アポトーシスの特徴は,ヌクレオソーム単位のDNA断片化,クロマチン濃縮,細胞質の分断が見られることであり,この過程の初期の段階では,ミトコンドリアやその他の細胞質内小器官に構造的な変化は,起こらない.一方,壊死は,アポトーシスとは形態学的にも生化学的にも異なった発現の仕方をする.壊死の開始から,細胞質内の構築は,完全に崩壊するが,核は,損なわれないで残る.アポトーシスによる細胞死は,生理的な過程のもとでも病理学的な状況のもとでも出現する基本的な死の様式である.アポトーシスは,老化好中球が死ぬ機序として認められている.多くの組織でアポトチック好中球は,細胞が溶解する前にマクロファージによって貪食される.そうすると,好中球の細胞質内の毒性の構成成分によって引き起こされる組織の損傷が妨げられることになる.アポトチック細胞が“老化自己”としてマクロファージの認識を受けるのは,ビトロネクチン受容体を仲介することが明らかになっている.しかし,アポトチック細胞のマクロファージ認識にかかわる機序は,それほど単純ではなさそうである.(平成6年4月18日採用)
著者名
本間 隆義,他
20
S
49-57
DOI
10.11482/KMJ20(S)49-57.1994.pdf

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