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Online edition:ISSN 2758-089X

心エコー図上,大動脈弁細菌性疣贅と鑑別困難であったFlail Aortic Valveの1例

症例は67歳女性.大動脈弁閉鎖不全を伴う感染性心内膜炎で入院.術前に行われた心エコー図検査では有茎性の大動脈弁細菌性疣贅が疑われたが,手術では弁穿孔によるflail aortic valve の像であった.flail aortic valve と細菌性疣贅は類似のMモードエコー所見を呈するが,超音波断層法を併用することにより両者の鑑別が可能とされている.しかし,本例ではそれが困難であった.したがって,心エコー図上細菌性疣贅と考えられる所見が得られても,重症の大動脈弁閉鎖不全を有する場合はflail aortic valve の存在を考慮することが臨床上必要であると考えられた.(昭和63年10月4日採用)
著者名
覚前 哲,他
15
1
137-140
DOI
10.11482/KMJ-J15(1)137

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