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非小細胞肺癌患者におけるXAGE-1b (GAGED2a)に対する宿主免疫応答の解析

 本邦での死因の第一位は悪性新生物となり,新規のがん診断と治療法の開発が急務である.近年,新しい治療法として免疫療法が注目され,免疫原性の高いがん特異抗原を用いたワクチン療法が試みられている.がん精巣(CT, cancer/testis)抗原は,その発現が精巣とがん組織に限定されていることからワクチン療法の標的抗原として有望視されている.本研究では,非小細胞肺癌(NSCLC)患者でCT 抗原のひとつであるXAGE-1b(GAGED2a)に対する宿主免疫応答について検討した. 液性免疫については,2005年から2011年に,川崎医科大学附属病院を受診した肺癌患者407例(小細胞肺癌: SCLC 45例,非小細胞肺癌:NSCLC 362例),および対照群として健常人50例を対象として検討した.抗体の検出はXAGE-1b 合成タンパクを用いELISA 法で測定した.また細胞性免疫については,血清抗体価陽性症例KLU187,陰性症例KLU37の末梢血単核球(PBMC)より単離したCD4 T 細胞,CD8 T 細胞を用いてXAGE-1b 抗原と抗原提示細胞,T 細胞を共培養することによって抗原特異的T 細胞の誘導を検討した.XAGE-1b 特異的CD4 とCD8 T 細胞の検出はIFN γ ELISA 法またはIFN γ分泌アッセイ法で解析した. XAGE-1b(GAGED2a)抗体は全肺癌で32/407例(7.9%),SCLC の0/45(0.0%),NSCLC の32/362例(8.8%)に認め,NSCLC の中でも,肺腺癌28/220(12.7%)に多く認めた.さらに臨床病期3B/4の肺腺癌に於いては22/118例(18.6%)と高率に特異抗体を検出した.一方,抗体陽性患者のCD4,CD8 T 細胞については,XAGE-1b(GAGED2a)に対する特異的な反応を検出した. これまでに,がん免疫療法の標的抗原として種々のCT 抗原が同定されてきた.いくつかのCT抗原は肺癌にも高頻度に発現する.しかし,液性免疫反応を誘導するものはほとんどない.今回,NSCLC 患者において,XAGE-1b(GAGED2a)に対する特異的な液性免疫応答を高率に検出した.さらに,抗体陽性患者に,細胞性免疫も検出した.これらの知見は,XAGE-1b(GAGED2a)を用いた肺癌ワクチン療法が有望であることを示唆している.(平成23年10月24日受理)
著者名
大植 祥弘
37
4
223-232

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