h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

微小変化型および膜型ネフローゼ症候群における 腎機能に関する研究

微小変化群9例と膜性腎症9例において,ネフローゼ期と回復期の腎概能について検討した.膜性腎症のネフローゼ発症年齢は,微小変化群に比し有意に高齢であった.蛋白尿と低蛋白血症は,微小変化群と膜性腎症で有意な差を認めた.ネフローゼ期間は膜性腎症でかなり長期間であった.ネフローゼ期から回復期で,微小変化群において低下していたCthioとFFは増加し,一方膜性腎症では,CthioとCPAHは低下した.微小変化群のCPAH及び膜性腎症のFFは,一定であった.微小変化群と膜性腎症における腎機能のこういった変化に対する,発症年齢,光学顕微鏡レベルでの病理組織学的変化,蛋白尿,低蛋白血症,薬剤などの因子の関与は少ない.微小変化群と膜性腎症においての腎機能変化の差異は,腎内血行動態の変化に関与する免疫学的あるいは内分泌学的病態因子の違いによる可能性が考えられ,これら因子についてのより詳細な解明が待たれる.
著者名
岡本 満夫
10
3
398-407
DOI
10.11482/KMJ-J10(3)398

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