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注意欠如多動症を併存するアルコール使用障害患者の臨床的特徴

精神科臨床において,他の精神疾患に注意欠如多動症(Attention Deficit HyperactivityDisorder ; ADHD)が併存することで,治療が困難になりやすいことが近年注目されている.アルコール使用障害患者において,ADHD の併存が多いことは報告されているが,その臨床特徴が再飲酒にどのように影響するかについての研究はこれまでなく,本研究ではそれらを検討した. DSM-5によってアルコール使用障害と診断された20歳以上の患者33名を対象とし,ADHD 群と非ADHD群に分け,アルコール再飲酒リスク評価尺度(ARRS:Alcohol Relapse Risk Scale),コナーズ成人ADHD 評価スケール日本語版(CAARS:Conners’ Adult ADHD Rating Scale),ベックうつ病評価尺度(BDI-Ⅱ:Beck Depression Inventory-Second Edition),自閉症スペクトラム指数日本語版(AQ-J:Autism Spectrum Quotient-Japanese Version)を用いて症状を評価した. 結果は,ADHD 群でARRS 総得点が有意に高く,下位項目でも「刺激脆弱性」「感情面の問題」「ポジティブ期待」が有意に高かった.また,BDI-ⅡにおいてもADHD 群が有意に高かった. アルコール使用障害患者は,ADHD を伴うと再飲酒リスクが有意に上がり,自覚的な抑うつ症状も有意に高いことが示された.これらに留意して診療を行うことで,再飲酒を防ぐ可能性があることが示唆された.doi:10.11482/KMJ-J42(2)69 (平成28年5月18日受理)
著者名
原 正吾
42
2
69-77
掲載日
2016.7.14

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