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糖尿病剖検例における消化器合併症 ―特に2次性糖尿病をきたしうる病変について―

我々は,糖尿病の臨床診断をもつ剖検例について,特に2次性糖尿病の原因となりうる消化器合併症を中心に,臨床病理学的な検索を加えた.また糖尿病と肝硬変および慢性膵炎の同時合併がかなり高頻度であったことより,糖尿病非合併例を含めた全肝硬変剖検例において膵線維化に関する組織学的検索を行い,糖尿病との相関について検討した. 糖尿病86剖検例における消化器合併症の主なものは,胆石症(27.9%),肝硬変症(19.8%),胃十二指腸潰瘍(17.4%),慢性膵炎(9.3%),膵癌(8.1%),などであり,これらは対照すなわち非糖尿病剖検例におけるものに比べ,それぞれ有意に高率であった.非糖尿病剖検例におけるこれら疾患の発生率は,胆石症7.0%,肝硬変症5.7%,胃十二指腸潰瘍9.3%,慢性膵炎1.4%,膵癌2.7%,などであった. このような糖尿病を合併した肝硬変症においては, 17剖検例中14例(82%)に膵線維化を認め,また全肝硬変症剖検例における膵組織の検索により,線維化の高度な例に糖尿病の合併率が高い傾向が明瞭なことから,肝硬変と糖尿病の合併には,その間に膵線維化が関連するものが多く,真の肝性糖尿病は少ないであろうと考えた. 慢性膵炎および膵癌合併群では,糖尿病の診断が先行するものが多く,後者においては全例で糖尿病発現後1.5年以内に膵癌が発見された.また糖尿病合併膵癌は膝を広範囲に侵すものが多かった.
著者名
大村 晃一, 他
8
4
370-377

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