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Borrmann 4型胃癌が疑われた胃結核の一例

糖尿病コントロール目的で入院した78歳の女性が心窩部痛,食欲不振を訴えたため,胃X線検査を行なったところ,胃体部を侵すBorrmann4型のび漫癌が強く疑われた.内視鏡的には,白苔を伴う,辺縁はきわめて不整であるが境界明瞭な潰瘍性病変が,胃体中部より胃角部の前後壁にかけて多発しており,周囲粘膜の変化からむしろ良性胃潰瘍が示唆された.切除胃標本では,胃体中部より胃角部の前後壁にかけて,最大径4.5cm大までの辺縁不整な地図状で,境界明瞭な多発性潰瘍を認めた.組線学的には,主に粘膜下層を,また一部では非潰瘍部の粘膜深層を侵し, Langhans型巨細胞と中心壊死を伴う多数の類上皮細胞性肉芽腫結節を認め,切除リンパ節にも同様の結節所見を認めた.しかし,これら病巣内に直接抗酸菌が証明されなかった.結核の既往もなく,また肺その他胃以外の臓器に結核の原発巣が見出されなかったが,肉眼的,組織学的病理所見より胃結核と診断された.文献的考察により,本邦の胃結核例には,本症例のごとく結核の既往もなく又胃病変以外の原発巣が不明なものが最も多いことが判明した.
著者名
塚本 真言, 他
7
3.4
241-249

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