h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

MRL-MpJ創傷治癒形質導入はデュシェンヌ型筋ジストロフィーモデルマウスの骨格筋病変を改善する

 MRL-MpJ マウスは耳穴が閉鎖するというユニークな表現型から発見された自然発症変異マウスで創傷治癒促進及び組織再生モデルとして盛んに研究されているが,その責任遺伝子は未だ不明である.本研究ではこの創傷治癒形質MRL-MpJ を交配によってジストロフィン欠損デュシェンヌ型筋ジストロフィーモデル(mdx)マウスに導入し,骨格筋の筋ジストロフィー病変について解析した.6週齢の導入マウス四肢筋(大腿四頭筋)では,mdx マウスで認められた単一筋線維断面積減少は有意に改善し,また再生(中心核)線維数も有意に増加していた.14週齢の導入マウス呼吸筋(横隔膜)でも同様に単一筋線維断面積減少の改善と中心核線維数の増加を認めた.更に導入マウス横隔膜では線維化の指標であるヒドロキシプロリン含有量が有意に減少していることが明らかとなった.これらの結果からMRL-MpJ 創傷治癒形質の導入は,ジストロフィン欠損筋の線維化を抑制し筋再生を促進するため,現在有効な治療法がないデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者に対する新しい治療法となる可能性が示唆された.(平成21年9月4日受理)
著者名
藤野 雅広, 他
35
4
295-305
DOI
10.11482/2009/35.295.2009_Igakukaishi_Fujino_etal.pdf

b_download