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ヒト皮膚繊維芽細胞を用いてヒトにおけるトリインフルエンザウイルスの感染増殖能の評価は可能か

 ヒト皮膚繊維芽細胞(HSF)が,トリインフルエンザウイルスのヒト細胞における感染増殖能を評価するための実験に使用可能かどうかを検討した.先ずHSF はヒトインフルエンザウイルスに対してヒト気管支上皮細胞と同様な感受性を示すこと,ウイルスレセプターに関しては大量のα2,3シアロ糖鎖(いわゆるトリ型レセプター)と少量のα2,6シアロ糖鎖(いわゆるヒト型レセプター)が存在すること,少量のレセプターにもかかわらずヒトインフルエンザウイルスはHSFで良く増殖すること,ウイルスの増殖性はHSF の継代歴(6~22代)に左右されないことが見出された.そこで15株のHSF に弱毒型トリインフルエンザA/teal/Tottori(H5N3)ウイルスを感染させ,それぞれの細胞培養系においてウイルスの感染がどれくらい拡がるかを測定した.その結果,HSF 株間でトリのウイルスの感染拡大効率に差があることが見出されたが,いずれの場合もヒトのウイルスと比較すると極めて限定された増殖しか起きないことが明らかとなった.本研究を通して,HSF がインフルエンザウイルスのヒト細胞における増殖能の評価に使用できることが分ったので,今後,他のトリインフルエンザウイルスの増殖能を調べることにより,それぞれのウイルスが持つ新型ウイルス出現の潜在的危険性について論ずることが可能となった.(平成21年7月6日受理)
著者名
葉山(藤井)智子
35
3
215-226

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