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転移・再発乳癌患者に対するエリブリン療法の有用性

エリブリンはタキサンとは異なる作用機序をもつ微小管阻害剤である.海外の第Ⅲ相試験 では,エリブリンの転移・再発乳癌に対する延命効果が示されている.今回,エリブリンの臨床 的な有用性を検討するため,2011年9月から2017年8月に当科でエリブリン療法を行った進行・ 再発乳癌97症例を対象として後方視的に調査した.対象患者の年齢は35 - 81歳(中央値58), performance status は1が最多で64例,Stage Ⅳが5例,再発が92例であった.原発腫瘍のエス トロゲン受容体は陽性が64例,プロゲステロン受容体は陽性が48例,human epidermal growth factor receptor 2は陰性が78例であった.前化学療法のレジメン数は0 - 9(中央値2), 臓器転 移ありが69例,肝転移ありが40例,エリブリン療法の実施サイクル数は1 - 12回(中央値3.5), 観察期間は1 - 55か月(中央値10),有害事象による中止例は10例であった.最大治療効果は,完 全奏効が0例,部分奏効が1例,長期安定が27例,安定が16例,進行が42例,不明・評価不能が 11例であった. 臨床的有効率(奏効率+長期安定率)は29% であった.Time-to-treatment failure (TTF) は0 - 178週間(中央値13),治療開始後全生存期間は0 - 55か月(中央値15.5)であった. 好中球減少症はグレード1が最多で61例,非血液毒性は嘔気が7例,肝機能障害が6例,末梢神 経障害が5例,間質性肺炎が3例などであった.良好なTTF の予測因子は,単変量解析で「臓器転 移なし」(P = 0.0356)が同定された.良好な治療開始後生存の予測因子は,多変量解析にて「臨 床的有効性あり」(P = 0.0008)と「PS が0か1」(P < 0.0001)が同定された.エリブリン療法は, 奏効率は低かったが,本療法は,約30% の症例に臨床的有効性をもたらし,生存期間の延長に寄 与する可能性がある. doi:10.11482/KMJ-J44(1)71 (平成30年3月6日受理)
著者名
小池 良和, 他
44
1
71-78
掲載日
2018.5.10

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