h_kaishi

t_toukou

ロミプロスチムが奏効した肺胞出血併発移植後血栓性微小血管障害症

造血幹細胞移植後に発症する血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy:TMA)は,治療法が確立されておらず,多臓器不全や重症出血をきたす予後不良な疾患である.今回,造血幹細胞移植後TMA と肺胞出血を発症し,ロミプロスチム投与が奏効した症例を経験したので報告する.症例は20歳代の男性.20XX 年6月節外性NK/T 細胞リンパ腫, 鼻型と診断し,化学療法後に母子間末梢血幹細胞移植を施行した.再発することなく経過し,移植1年後に,免疫抑制剤を中止した.治療による腎機能障害を呈していたが,高血圧に伴い腎機能障害が増悪した.高血圧緊急症と判断し,直ちに降圧剤を開始したが,腎機能障害はさらに進行し,血小板数は徐々に低下し,その後0.8万/μL まで急激に低下したため,精査治療目的に入院となった.貧血の進行,LD 高値,ハプトグロビン低値,破砕赤血球の出現を認め,ADAMTS13活性の低下やインヒビターは認めなかったため,TMA と診断した.血漿交換療法や新鮮凍結血漿(FFP)の定期輸注,rTM (recombinantthrombomodulin) 投与で治療したが,5週間経過しても血小板数や病態の改善を認めなかった。その後、入院38日目に肺胞出血を発症した.長期間のTMA 存在下での血小板輸血はリスクが高いと考え,ロミプロスチムの投与を開始した.その結果,血小板数増加により,肺胞出血は改善し,新たな臓器不全症状がでることなく治療し得た.移植後TMA における確立された治療法はないが,血小板減少に伴う出血症状に対してロミプロスチムが有害事象なく奏効する可能性が示唆された.ロミプロスチムの適応外使用については川崎医科大学附属病院医療倫理委員会にて承認されている.
著者名
佐野 史典, 他
45
11-17
掲載日
2019.3.25

b_download