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Online edition:ISSN 2758-089X

サルコイドーシスの診断における超音波気管支内視鏡ガイド下経気管支針生検(EBUS-TBNA)の有用性

縦隔・肺門リンパ節病変に対する超音波気管支内視鏡ガイド下経気管支針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration: 以下EBUS-TBNA) は,縦隔鏡や外科的な肺生検に比べ低侵襲である.肺癌のリンパ節転移の診断に対するEBUS-TBNA の有用性は確立されており,良性疾患に対する有用性や内視鏡所見についての報告は少ない.サルコイドーシスに対するEBUS-TBNA の有用性と問題点を検討した.川崎医科大学呼吸器内科に2004年5月1日から2016年11月30日に,サルコイドーシスの疑いで入院した67例(男34,女33)を対象とした.EBUS-TBNA でサルコイドーシスと診断した症例と,それ以外で診断した症例を後方視的に解析した.サルコイドーシスと診断したのは39/67例(58%),そのうちTBLB + EBUS-TBNA で診断;13/21例(62%),EBUS-TBNA のみで診断;2/2例,TBLB(transbronchial lung biopsy)のみで診断;22/41例(53%),縦隔鏡で診断;1例,皮膚生検で診断; 1例であった.受診の契機は健康診断の胸部エックス線検査で両側肺門リンパ節腫脹(bilateral hilar lymphadenopathy:以下BHL)等の胸部異常陰影の指摘によるものが約半数(31/67例)を占めていた.穿刺リンパ節は#4R と#7が多く,穿刺距離は 27.9±4.5 mm,そのうち19例は 20 mm 以上であった.EBUS-TBNA が施行できなかった15例のうち8例は病期Ⅲ,2例は病期Ⅱ,3例は病期0,1例は血流のため,1例はリンパ節が同定不可であった.また,EBUS-TBNA に関連した重篤な有害事象はなかった.縦隔・肺門リンパ節が腫大したサルコイドーシスでは,穿刺困難な事由がなければ,EBUS-TBNA による診断は有用である.
著者名
八十川 直哉, 他
45
95-100
DOI
10.11482/KMJ-J201945095
掲載日
2019.10.15

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