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深い悲しみを持たせないことを目的とした終末期がん患者のせん妄への早期対応の提案

余命2週間のがん末期の患者が,終末期のせん妄による看護師への暴力をきっかけに,「医療者に暴力をふるうような患者です.」と悪評され,不名誉を拭えないまま,両親に見守られる中,亡くなった.対応するスタッフが,終末期がん患者のせん妄に対し早期に対応できていればこのような事態を招かなかったと考えられる.今回の症例を通して,せん妄への早期対応を提案したく報告する.症例は30歳代男性で,4年前,中枢神経がんに対して化学療法が施行され奏効し寛解に到達した.しかし,社会復帰は困難な状況であったため,両親は共に仕事を辞め,付き添い本人を支えた.外来での経過観察中,1年前の3月に別のがんを発症した.後遺症による精神状態とPS不良を理由に化学療法は不可能と判断された.20XX 年2月になり,呼吸状態が悪化したため入院となった.入院後,状態悪化に伴うせん妄症状が出現し,せん妄のため看護師へ暴力行為を行ってしまった.暴力行為のため,転院せざるを得ない旨を両親に説明することとなったが,転院には間に合うことなく,転院の説明から1週間で永眠された.せん妄と,それに伴う暴力行為に対する早期予防・対策が立案できていないことが,この状況を招いた要因と考えられる.せん妄症状の発生に早い段階で気づき,暴力リスクを理解し対策していくことが,がん終末期患者とその家族の深い悲しみを回避する医療を行うために大切なことと考える.
著者名
佐野 史典, 他
46
15-20
掲載日
2020.4.20

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