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Online edition:ISSN 2758-089X

インドメタシン誘発ラット小腸潰瘍モデルにおけるマクロファージ関連matrix metalloproteinases (MMPs)の役割

【目的】 Crohn病の実験モデルである,インドメタシン誘発ラット小腸漬癌モデルにおけるマクロファージ関連matrix metalloproteinases (MMPs)の関与について明らかにする. 【方法】 6週齢の雄性Wistar系ラットに,インドメタシン(Indo) 24mg/kgを注腸し小腸縦走漬癌を誘発した.小腸全長に対する全小腸縦走潰癌長の占める割合であるUlcerIndex (UI)と組織学的損傷スコア- (HDS)を用いて小腸縦走潰癌を経時的(投与6, 12, 24時間後 3, 7H後)に評価し,小腸漬癌部におけるMMP-2, -3, -9の発現について, Western blotting, zymography,免疫染色を用いて検討した,さらに小腸漬癌抑制におけるMMP阻害剤の効果を検討するために,まず広域MMPs阻害剤(GM6001)をIndo投与の3時間後に1 , 5, 10, 30mg/kgの用量で腹腔内投与し, 24時間後の小腸漬癌の程度をUIおよびHDSで評価し MMP-3, -9の発現についても Western blotting, zymography,免疫染色で検討した.次に選択的MMP-3阻害剤について,用量を変えて腹腔内授与し,同様に小腸漬癌の程度を評価した. 【結果】小腸漬癌は UI,HDSともにIurio投与24時間後に最大値となったが MMPsではMMP-3が24時間後で最大値を示し,小腸漬癌の肉眼的・組織学的変化と最も相関していた. MMP-9は6-12時間に MMP-2では主に3-7日後に発現のピークを認めた. GM6001は,用量依存的に肉眼的・組織学的に小腸漬癌の発生を抑制L MMP-3の発現は漬癌の程度と相関をもって抑制されていた.さらに選択的MMP-3阻害剤は,用量依存性に肉眼的・組織学的に小腸漬癌の発生を抑制した. 【結論】本研究により,ラットのIndo誘発小腸縦走漬癌発生に,マクロファージ関連MMPs,特にMMP-3が強く関与していることが明らかになった.この結果から,選択的MMP-3阻害剤はCrohn病の治療に応用できる可能性がある.(平成15年10月6日受理)
著者名
松本 啓志
29
3
177-188
DOI
10.11482/KMJ29(3)177-188,2003.pdf

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