C1-INHの低下がみられた放射線性潰瘍に伴う舌浮腫の1例 66歳の男性が囁下困難を伴う突然の舌の腫脹を自覚した.組織内照射による舌癌治療の既往があるために,再発疑いで3週間前に右側舌潰瘍から細胞診を受けていた.細胞診はクラスIで,悪性所見は認めなかった.放射線性粘膜潰癌を伴う血管神経性浮腫(クインケ浮腫)の診断のもとにトラネキサム酸,d-マレイン酸クロルフェニラミン,エビネフリンを授与した.6日後には舌浮腫はほとんど消過した.舌腫脹時の検査成績では,CII50,Cl,C3,C4は基準値内であったが,補体第1成分阻止因子活性は低値を示した.家族歴はなく遺伝性血管神経性浮腫が疑われたが,舌浮腫の消退後は同因子活性は基準値内に回復していた.(平成14年11月13日受理)