h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

t_toukou

乳癌における HRE1,HER2発現の治療効果や予後の予測因子としての意義

 増殖因子受容体HERl,HER2の過剰発現は,乳癌の20-40%に認められ,予後不良因子として知られている.また,HERl,HEK2を過剰発現する乳癌はホルモン療法に耐性を示し,化学療法(アントラサイクリン[A]やタキサン[T]系薬剤)に良好な反応を示すことが報告されており,治療効果予測因子としても注目されている.さらに最近,HERl,HER2のシグナル伝達を阻害する薬剤が開発され,臨床応用が始まっている.そこで,HERl,HER2の治療効果や予後の予測因子としての有用性を検討した.<対象と方法>1991年~1999年に川崎医科大学乳腺甲状腺外科で根治手術を行った原発乳癌420例のうち,再発後の治療経過が判明している52例を対象とした.原発乳癌標本を用い,HER2,p53,Ki67を免疫組織化学的に検討し,HERlはリガンド結合法にて測定した.治療効果や予後との相関は,単変量及び多変量解析にて分析した.<結果>HERl,HER2,p53の陽性率は,各々30.8%,19.2%,26.9%で,Ki67高標識例は46.2%であった.治療効果や予後との関連をまとめると,1)HERlやEER2陽性症例は,A系薬剤に奏効しやすいが,再発後生存期間は短く,予後不良であった.2)HER2陽性症例は,T系薬剤に奏効しやすいが,予後とは無関係であった.3)FERl陽性症例は,ホルモン療法に奏効しやすいが,無進行期間や再発後生存期間は短く,予後不良であった.4)Ki67高標識乳癌症例は,ホルモン療法の治療効果とは無関係であったが,再発後生存期間は短く,予後不良であった. <考察>HERlやHER2陽性乳癌は,化学療法やホルモン療法に比較的良く奏効するが,早期に耐性を獲得し,患者を早期に死に至らしめることが示された.今後は,HERlやHER2陽性乳癌に対して,HERlやHER2のシグナル伝達阻害剤の併用が考慮されるべきである.(平成15年2月7日受理)
著者名
山本 裕
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1
47-58
DOI
10.11482/KMJ29(1)047-058.2003.pdf

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