h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

真皮フィブロネクチン発現パターンと遊走表皮先端部形態の相関について

 慢性創傷における創傷治癒遅延の1つの原因として再上皮化がうまく進行しないことがあげられる.私達は再上皮化遅延の病態を知るために,正常の再上皮化過程において重要な役割を果たすフィブロネクチン,特に遊走表皮先端部直下の真皮内フィブロネクチンに注目し,その分布について検索した.私達は1998年から2003年の間に当科で手術を施行した褥瘡7例,熱傷(急性創傷,コントロール)5例について蛍光抗体間接法を用い検討した.真皮内フィブロネクチン分布は,褥瘡の7例中2例が陰性であり,残りの5例は正常皮膚より減弱していた.真皮内フィブロネクチン分布が陰性の症例は,組織学的に遊走表皮先端部は,肥厚,鈍化あるいはやや鈍化し,僅かに延長していた.真皮内フィブロネクチン分布が減弱の症例では,遊走表皮先端部は,肥厚,やや鈍化,僅かに延長から軽度延長を呈した.熱傷では,5例中3例で真皮内フィブロネクチン分布が正常皮膚より増加しており,残りの2例は正常皮膚と同じであった.真皮内フィブロネクチン分布が増加している3症例では遊走表皮先端部は,鋭的楔状,やや鋭的楔状,鈍的楔状を示し,著明から中等度延長していた.真皮内フィブロネクチン分布が正常皮膚と同じ症例では,遊走表皮先端部は鈍的楔状で中等度延長していた.すなわち真皮内フィブロネクチン分布と遊走表皮先端部の形状ならびに延長の有無との間に関連性を認めた.このことより,真皮内フィブロネクチンの減少は褥瘡の再上皮化遅延の一要因になっていると考えられた. (平成17年9月15日受理)
著者名
篠山 美香,森口 隆彦
31
3
167-173
DOI
10.11482/KMJ31(3)167-173.2005.pdf

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