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顎顔面形態形成に関わる FGF-8 の解析

 線維芽細胞増殖因子(FGF)の一つであるFGF-8は後脳や四肢の発生過程において重要な役割を演じている.本研究では,発生時の顎顔面の形態形成過程で発現している分泌性タンパク質FGF-8に注目し,その発現パターンと機能をニワトリ胚で調べた.正常胚においてFGF-8は鼻窩辺縁と上顎隆起の下顎隆起側縁に発現していた.また,胚発生の途中の段階で,レトロウイルスベクターを介してFGF-8を片側上顎隆起に過剰持続発現させた.その結果,これらの個体にはFGF-8の過剰発現した側へ上顎が湾曲する表現型が生じた.これらの個体では骨組織,特にpalatine bone,maxillary bone,jugalの欠損または低形成をきたしていたが,軟骨には欠損や低形成は起こらず,逆に眼窩下方上顎部で異所性の軟骨組織が形成されていた.これらの硬組織の変化に対し,二次口蓋の裂幅は変わらず,FGF-8は軟部組織の形成には影響していなかった.これらの結果から,FGF-8は顎顔面形態形成で重要な機能を持っており,過剰なFGF-8は発生過程の骨形成に対しては抑制的に,軟骨形成に対しては促進的に働くことが判明した.(平成17年10月7日受理)
著者名
山本 康弘
31
3
151-159
DOI
10.11482/KMJ31(3)151-159.2005.pdf

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