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Online edition:ISSN 2758-089X

Laminectomy membrane の経時的変化と高分子ヒアルロン酸製剤によるその抑制効果に関する実験的研究

 脊椎手術後に諸症状を引き起こす原因の一つといわれる椎弓切除後瘢痕(Laminectomy Membrane,以下LM)を抑制する理想的な人工材料は未だ開発されていない.そのため,その諸症状を改善,また予防する新しい人工材料,方法が望まれている.本研究では,日本白色家兎を用いて椎弓切除を行い,椎弓切除部に何も充填しないコントロール群,high-molecular-weight hyaluronan(スベニールR)を充填したHMW HA群について,椎弓切除部に形成されるLMを経時的に,形態・組織学的に比較検討をした.その結果,コントロール群の線維芽細胞密度は,術後2週以降徐々に減少し,特に8週以降では統計学的に有意に低値を示し,それ以降には有意な増減がなかったことから,LMは8週までに組織学的に成熟することが示唆された.また脊柱管内のLMによる占拠率(LMCR)は術後48時間から5週までほぼ一定であるが,8週以降に有意に低値を示したことから,LMは5週以降,8週までに組織学的に収縮することが示唆された.そのため脊柱管内におけるLMの形成抑制には,術後早期に脊柱管内を占拠するLMを抑制することが重要であると考えられた.HMW HA群では,椎弓切除術後5週までの間において,線維芽細胞密度,LMCRともコントロール群より統計学的に有意に低値で,さらに術後4週まではLMと硬膜の癒着も抑制され,LMの形成抑制に有効なことが示された.本研究で用いたスベニールRは,今後,神経組織への影響等を明らかにすることで,脊椎手術後のLMを抑制する人工材料としての使用が期待される.(平成17年10月4日受理)
著者名
横山 勝道
31
3
137-149
DOI
10.11482/KMJ31(3)137-149.2005.pdf

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