顎顔面形態形成に関与するWntファミリーの発現パターン ニワトリ胚の顎顔面形成過程において,分泌性タンパク質であるWntファミリーの発現パターンをin situ hybridizationで調べた.脊椎動物で19個あるWntメンバーのうち,Wnt-3a,Wnt-5a,Wnt-10a,Wnt-11が顎顔面の形態形成で発現していた.Wnt-5aは発生が進むとともに各顔面隆起の遠位側先端に強く発現していた.また,Wnt-11はそれぞれの顔面隆起間の近接部間充織に強く発現していた.一方,Wnt-3aとWnt-10aは上皮でのみ発現していた.これらの時間的,空間的に特異的な発現パターンから,これらのWntファミリーが顎顔面の骨格や筋分化に至る過程で分化誘導シグナルとして重要な働きをしていると考えられる. (平成17年9月8日受理)