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Online edition:ISSN 2758-089X

マウス嗅粘膜における嗅腺の発達 -計量組織学的観察-

 胎生14日から生後60日までのICRマウスの嗅粘膜で,特に嗅腺に注目し,胎子ならびに新生子における嗅腺の発達を計量組織学的に観察した.胎生14日の鼻腔においては,嗅粘膜と呼吸粘膜の区別は可能だが,嗅腺を観察することはできない.胎生17日では鼻腔下部の呼吸粘膜には良く発達した鼻腺が観察できる.しかし嗅粘膜に嗅腺はごくわずかしか観察されず,その形態は少数の短く管状を呈する腺構造として固有層内に認められる.嗅腺は出生後急速にその数が増加するとともに,分泌部が固有層内で長く伸展する.分泌部は基本的に管状構造を呈するが,生後日数とともに長くなり固有層内の血管や神経線維束に圧迫されるようになる.計量組織学的に観察すると嗅腺細胞数は胎生19日と生後0日の間で急速に増加する(P<0.01).嗅腺は胎生17日では天蓋・鼻中隔域および甲介域にのみ出現し,外側域には見られない.生後においても外側域に少なく,その分布に明らかな部位差が認められ(P<0.01),その発達には呼吸の開始が密接に関連する可能性がある. (平成16年5月25日受理)
著者名
増田 勝巳
30
1
11-19
DOI
10.11482/KMJ30(1)011-019.2004.pdf

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