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Online edition:ISSN 2758-089X

腹腔鏡下脾臓摘出術を行った脾原発 inflammatory pseudotumor の一例

 脾原発inflammatory pseudotumorは比較的稀な疾患であり,その術前診断も困難とされている.今回,われわれは本症に対して腹腔鏡下脾臓摘出術を行った1例を経験したので報告する.症例は68歳,女性.前医で平成7年に右乳癌のため右乳房部分切除術を施行され,術後定期検査で脾腫瘤を指摘された.自覚症状は無く,血液検査でも異常を認めなかった.腹部超音波検査で脾臓に径26mm大の低エコーの腫瘤を認め,腹部CT検査でも脾臓に約25mm大の腫瘤を認めた.腹部血管造影検査では明らかな腫瘍濃染は認めなかった.良性の原発性脾腫瘍,乳癌の脾転移,悪性リンパ腫などが考えられ,診断的意義を含めて腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.病理組織学的に脾原発inflammatory pseudotumorと診断された.本症は術前診断が困難な上,脾臓摘出に診断と治療が委ねられているため,低侵襲な腹腔鏡下脾臓摘出術が最も適していると考えられた. (平成17年4月11日受理)
著者名
村上 陽昭,他
30
3-4
195-201
DOI
10.11482/KMJ30(3,4)195-201,2004.pdf

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