h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

初回寛解から8年後に再発した精巣原発悪性リンパ腫

 症例は73歳男性.1995年に左無痛性陰嚢腫大が出現し左精巣腫瘍を認めた.左精巣摘出後の病理組織はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)であり,精巣原発悪性リンパ腫(PTL)と診断した.化学療法(THP-COP)6コースと抗腫瘍剤の髄腔内投与,および対側精巣に放射線照射(30Gy)を施行し完全寛解を得た.初診から8年後の2003年7月に右側無痛性陰嚢腫大と鼻閉感が出現.右精巣摘出術を行い,DLBCLと診断した.Rituximab併用化学療法(Biweekly THP-COP)を施行後,第2完全寛解を得て,現在寛解継続中である.PTLは,再発や転移をきたしやすいため節外性悪性リンパ腫の中でも予後不良な一群とされている.本症例は予防的に対側精巣に対して放射線照射を行ったにもかかわらず,8年後に同部位に再発した.PTLは長期寛解後の症例にも再発することがあるため,長期間に渡る注意深い経過観察が必要である.(平成17年3月24日受理)
著者名
長洲 一,他
30
3-4
189-193
DOI
10.11482/KMJ30(3,4)189-193,2004.pdf

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