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Online edition:ISSN 2758-089X

熊による顔面外傷の1例

 報道等による本年の熊による人への被害報告は,例年になく多い.今回我々は,51歳男性が母子熊に遭遇し,顔面外傷を受けた症例を経験した.熊の襲撃の多くは頭頚部に集中しており,襲撃部位によっては時として致命的になることがある.一般的な救急処置に加えて,感染症や寄生虫症対策等を行う必要がある.特に破傷風やガス壊疽菌症には十分注意すべきである.また,顔面軟部組織損傷の治療にあたっては,機能,形態をなるべく元通りに再建する必要があり,組織欠損の量,周囲皮膚とのカラーマッチなどを考慮し皮弁や植皮,骨を含めた複合組織移植などの選択を行う必要がある.さらに外傷の程度に応じて,半年から1年は,機能および形態面に注意を払いながら外来にて経過観察を行う必要がある.(平成16年12月20日受理)
著者名
篠山 美香,他
30
3-4
183-188
DOI
10.11482/KMJ30(3,4)183-188,2004.pdf

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