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Online edition:ISSN 2758-089X

定量的超音波法による女性の踵骨骨量指標の経時的変化

 定量的超音波法(QUS)を用いて女性における踵骨の骨量指標の経時的変化を検討した.  対象は,QUSにより年1回の測定が複数回(追跡期間平均3.3年,1~7年)施行された健常女性701例(年齢:56.0±12.4歳)である.  QUSの骨量指標として,超音波の速度(SOS),広帯域超音波減衰係数(BUA)およびSOSとBUAから数学的に計算されるStiffnessが使用された.そして,対象を年代別に3群(21~44歳の閉経前(129例),45~59歳の閉経周辺期~閉経後早期(265例)と60~87歳の閉経後後期(307例))に分類し,各群における骨量指標の経時的(1~7年)な変化率を検討した.その結果,SOSの変化率は3群ともに(7年間:+0.2~+0.9%)殆んどで変化がなかった.  BUAの変化率は3群ともに最も大きな低下(7年間:-5.6~-10.7%)を示し,21~44歳群よりも45~59歳群と60~87歳群が著明であった(7年間:21~44歳群:-5.6%,45~59歳群:-9.2%,60~87歳群:-10.7%).Stiffnessの変化率は,21~44歳群では低下(-0.9%)は小さかったが,残りの2群での低下は大であった(45~59歳群:-8.3%,60~87歳群:-7.6%).  このように,健常女性の踵骨ではQUSで得られる骨量指標の加齢に伴う変化は,骨密度を反映するSOSよりも骨密度と骨質を併せた指標であるBUAの低下率が大きいことが示された.また,今回の研究結果から,年代別の骨量指標の経年的変化率の基準値が得られたので,骨量指標の急速喪失者の検出に利用できるものと思われる. (平成17年5月6日受理)
著者名
吉川 邦彦,他
30
3-4
173-178
DOI
10.11482/KMJ30(3,4)173-178.2004.pdf

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