Online edition:ISSN 2758-089X
経過観察中に肺化膿症を発症した肺底動脈体動脈起始症の1切除例 ―当科での手術症例からみた手術適応の検討―
症例は27歳女性.13歳時より胸部異常陰影を指摘されるが無症状であったため経過観察していた.2001年11月咽頭痛,膿性痰,39℃台の発熱を認め9日間発熱が持続し,近医で肺化膿症と診断され,肺分画症が強く疑われたため精査目的で入院となった.胸部CT・大動脈造影・肺動脈造影を施行し肺葉内肺分画症(肺底動脈起始異常症)と診断し,左後側方切開による左下葉切除術を施行した.左下葉には1/3を占める膿瘍が存在し,下行大動脈から肺内に流入する異常動脈と奇静脈を介して左房へ還流する血管を認めた.肺葉内肺分画症に感染をきたし肺化膿症に至ったものと考えられた.肺葉内肺分画症の手術適応について若干の考察を加えて報告する.(平成18年10月17日受理)
- 著者名
- 山澤隆彦,他
- 巻
- 33
- 号
- 2
- 頁
- 153-158
- DOI
- 10.11482/2007/KMJ33(2)153-158.2007.pdf