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Online edition:ISSN 2758-089X

ファンコニ貧血原因遺伝子FANCD2会合因子の同定と解析の試み

 Fanconi貧血(以下FA)は,進行性骨髄不全,好発癌を特徴とする遺伝性疾患である.細胞レベルでは,染色体不安定性,シスプラチンやマイトマイシンCのようなDNA架橋型抗癌剤に対する高感受性を特徴とし,現在までに11種類の原因遺伝子(FANCA,B,C,D1,D2,E,F,G,J,L,M)が同定されている.このうち8種類(FANCA,B,C,E,F,G,L,M)は,核内においてFAコア複合体を形成していると考えられている.FA蛋白質は共通の遺伝経路上に存在し(FA pathway),DNA損傷修復への関与が示唆されている.中でもFANCD2はその中心的役割を担っているが,詳細な作用機構は不明である.今回,FANCD2と相互作用する分子の検索に,FANCD2をbaitとしたYeast Two-hybrid法を用い,候補分子を33種類同定した.このうち,論文検索と,強制発現系における細胞内局在と免疫沈降解析により,BCCIPとDEADC1が実際に相互作用する可能性が高いと考えられた.これらの分子の機能を明らかにするべく,ニワトリDT40細胞を用いて両者の破壊を試みたが,いずれも致死遺伝子と思われ,欠損細胞の樹立にはいたらなかった.今後,siRNAなどの手法により機能解析が必要であると考える.(平成18年10月17日受理)
著者名
関 聰介
33
2
115-124
DOI
10.11482/2007/KMJ33(2)115-124.2007.pdf

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