h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

t_toukou

日本人成人男性における骨密度の加齢変化:骨代謝マーカーとの関連

[目的]女性における骨密度の加齢変化は既に詳しい検討が行われているが,男性についての検討は少ない.特に,日本人男性についての報告はほとんどみられない.そこで,本研究では,日本人男性における骨密度の加齢変化および骨密度変化と骨代謝マーカーとの関連について検討した. [対象と方法]1989年から2005年までに健康診断の目的で当院で骨密度測定を実施した成人男性を対象とした.全対象例1,737人のうち443人が異なる年度に複数回受診しており,初診時の年齢は54.3±10.4歳,初回から最後の受診時までの期間は平均4.8年であった.腰椎,大腿骨および橈骨の骨密度を二重エネルギー吸収測定法により測定し,初診時の値から横断的検討を,初診および最後受診時の値から縦断的検討を行った.経時的な骨密度測定を行った症例のうち39-71例を対象に種々の骨代謝マーカーの測定を実施した.また,問診結果および胸腰椎X線写真により脆弱性骨折の既往の有無を判定した. [結果]横断的検討では橈骨および大腿骨頸部骨密度と年齢との間に有意な負相関が見られ(それぞれr=-0.377,-0.224),腰椎骨密度と年齢には有意な関連は認められなかった.縦断的検討による骨密度の年間変化率は腰椎0.405±1.56%,大腿骨頸部-0.249±1.12%,橈骨-0.517±0.89%で,加齢とともに腰椎では有意な増加,大腿骨頸部と橈骨では有意な減少が示された.骨代謝マーカーのうちで尿中デオキシピリジノリンと腰椎および大腿骨頸部の骨密度変化率との間に有意な負相関が認められた(それぞれr=-0.323,-0.439).観察期間中に4例で脆弱性骨折の発生が見られたが,骨折発生と骨密度や骨代謝マーカーとの間には有意な関連は認められなかった. [結論]男性では加齢とともに腰椎の骨密度増加を示す例が多く,骨粗鬆症の評価の際には注意が必要である.また,男性でも女性と同様に骨吸収の亢進が将来の骨密度減少のリスクとなる可能性が示唆された. (平成18年10月3日受理)
著者名
吉川邦彦
33
1
35-42
DOI
10.11482/2007/KMJ33(1)035-042.2007.pdf

b_download