Online edition:ISSN 2758-089X
下肢静脈瘤治療後に発生する下腿浮腫に対する歩行訓練 ―静脈瘤に対する硬化療法後の下腿浮腫および手術後に発生した下腿浮腫―
一次性下肢静脈瘤の治療法として硬化療法と伏在静脈高位結紮術を併用した場合,しばしば頑固な下腿浮腫を認める.そこで,我々は下腿浮腫の予防的アプローチとして弾力包帯による圧迫療法,歩行訓練の有効性を検討した. 当院で行った一次性下肢静脈瘤, 956人1417肢の内,特に頑固な下腿浮腫を来たす可能性のある症例,すなわち手術療法として大および小伏在静脈結紮術,不全交通枝結紮術さらに広範囲な静脈瘤切除術を施行した症例24例を対象とし,下肢静脈瘤治療後に発生する下腿浮腫について歩行訓練の有効性を検討した. 歩行訓練としては,手術翌日より,1)足底静脈のフットポンプ機能を活性化させる目的で床歩行を20分間,1日3回,2)下腿膝部から足関節部までの静脈一筋肉ポンプを活性化する目的で階段昇降(100 step)を1日3回行わせた. さらに併用療法として,3)足背から大腿中央部まで弾力包帯および弾力ストッキングで圧迫した. 術後早期の圧迫療法と歩行訓練の併用は足底部の静脈によるフットポンプおよび静脈 (静脈弁)一筋ポンプ作用を有効に働かせるのに有効で下腿浮腫の軽減に効果的であると考えられた. (平成14年6月28日受理)
- 著者名
- 金澤 成雄,他
- 巻
- 28
- 号
- 2
- 頁
- 101-107
- DOI
- 10.11482/KMJ28(2)101-107.2002.pdf